名古屋商科大学では科研費を取得して研究活動を行っている教員を取材し、その研究内容を公開します。今回はその第4弾です。
教員・研究者の紹介

吉田真吾 先生
- 2013年4月 名古屋商科大学着任
- 2010年4月 日本学術振興会特別研究員(PD)着任
- 2010年3月 慶應義塾大学大学院法学研究科修了(博士(法学))
専門は国際政治、安全保障、日本外交。特に、日本とアメリカの間の安全保障関係、いわゆる日米同盟に関心を持っています。その歴史的展開を解明するのに不可欠な資史料を収集するため、夏や春の長期休暇期間は、東京やワシントンの公文書館、さらには全米各地の大統領図書館などを回っています。事の性質上、扱う文書の多くは「極秘(Top Secret)」や「秘(Secret)」と指定された機密文書です。
研究のテーマ
研究課題名「日米防衛協力の起源と展開:1970年代から80年代を中心に」
この研究では、自衛隊と米軍の間の協力、いわゆる日米防衛協力を検討しています。現在も連綿と続く日米防衛協力ですが、その起源は今からおよそ30年前の1970年代後半から80年代前半にかけての時期にあります。新聞やテレビなどでしばしば聞かれる「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」は、1978年に初めて策定されたものです。また、ミサイル防衛に用いられるイージス艦や、現在も最前線に立つF-15戦闘機やP-3C対潜哨戒機など、日米防衛協力を支える自衛隊と米軍の共通装備も、この時期に導入されました。この研究では、日米両国の外交・防衛関係の文書を丹念に読み解き、防衛協力がなぜ、どのように始まり、進んだのかを解明しています。
研究成果の普及
近年、北朝鮮の核開発や中国の海洋進出、米国の内向き傾向といった問題への対応をめぐり、日米同盟に関する論議が盛んになっています。そこでは多くのことが新しい問題・対策とされがちですが、歴史をひも解くと類似した事象は少なくありません。現在や将来の日米同盟を考えるに際しては、その歴史を振り返ることも不可欠ではないでしょうか。このような問題意識に基づき、単行本や論文、新聞などで研究成果を発表しています。
実際の講義への応用
「国際政治」や「安全保障」「日本外交」というと、「自分には関係のない遠い世界の話」と思われがちです。そのため、「国際社会論」や「国際安全保障」「日本外交論」の科目にでは、各回の講義の冒頭で、これから学修する内容がいかにして現在の世界や日常生活とつながっているかを伝えるようにしています。その上で、研究で得られた最新の知見を用いながら、様々な国際政治現象の原因と結果、展開を学生と共に考えています。
科研費とは
科学研究費補助金は全ての研究分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」を発展させることを目的とする研究助成金です。助成金は、相互審査(ピア・レビュー)を経て、独創的・先駆的な研究と認められた事業のみが採択されます。名古屋商科大学では科研費による研究テーマや実績について広く公表していきます。