
山崎さん(国際学部・英語学科3年)
ミャンマーの日本語学校で日本語指導を経験した山崎さん(国際学部・英語学科3年生)。普段は英語の塾講師のアルバイトをしているため、そちらでの経験が大いに活きたと言います。塾の初級クラスでは簡単な単語を教えるところから始め、上級クラスでは同じ意味合いの何種類もの単語を教えるなど工夫していますが、教科書があるためある程度のルールがあっての指導となります。一方で、今回のインターンシップではなんと教材は一切無し。クラスのレベルを伝えられた後、全くのゼロから授業を作りあげたそうです。指導は週4日行ったため、授業計画書を作成し、社員の方に確認してもらう毎日。当初は慣れないこともあり4回は計画書の差し戻しがあったそうです。これらの業務を通して就職活動前の段階で自らの向き不向きに気づくことができました。
由緒正しいエリート日本語学校にて突然教鞭を振るうことに
塾講師のアルバイトで小・中学生や高校生に英語を教えています。ポイントはレベルに応じて指導方法を細かに変えることです。教科書はありますが、ある程度は講師の裁量に任されていることもあり、自由に指導ができるのを魅力に感じています。状況に応じて教科書には無い内容を加えながら指導をすると喜んでもらえることが多いです。それでも教科書や指導に関する学校のルールがあるからこそ、この「自由に指導」が活きてくるのだと思います。それを実感したのが今回のミャンマーで3週間経験した日本語学校のインターンシップです。この日本語学校は日本語教育のみならず、マナーにおいても厳しい指導があるため、受け入れ先の日本企業からもエリートのミャンマー人を派遣してもらえると好評でした。ところが私が任されたときに期待されたのはただ一つ。「日本語を教える」ということ。規定の教科書があるわけでも無く、さあ、どうぞと生徒を託されました。一瞬頭が真っ白になりました。インターネットで情報を集め、自分なりに授業内容を作成。その計画書を社員の方にお持ちし、度々のチェックを受け授業に入ります。こんな新米が先生で申し訳ないと思うのですが、生徒の私に対する信頼度は非常に高く、熱心に聞いてくれました。クラスは日本語レベル以外にもどの業種につきたいかでも分かれておりエンジニアクラスは男性が、看護・介護クラスは女性が多い印象でした。
慣れてくると少し日本でのアルバイト経験が活きてきます。同じレベルのクラスでも個々人の理解度は様々です。レクリエーションを行なっても積極性が無い人には声をかけるなどの普段行なっているアドリブを自然と活かすことができました。できないとき、困っているときに声をかけてもらうととても嬉しい。この感覚は子供時代にクラスに馴染めずに困っている私に親友が声をかけてくれ、とても心が救われた経験からも生まれています。この日本語学校がエリートと言われる所以は一定レベルの日本語ができないと退学になってしまうところです。度々行われる日本語テストは日本の小学校の教科書から出題されます。8割取らないと不合格。もちろんそれを何度か繰り返せば退学になってしまいます。それもそのはず、こちらの学校は入学時にはお金がかからず、就職先が決まったときに支払う方法をとっています。可能性の無い生徒には時間もお金もかけられないのです。そのため生徒のみなさんはとても真剣です。退学になるなんて有り得ない。とにかく喰らいつくという雰囲気でした。
日本で働くことで日本に恩返しがしたい
こちらの学校にきている生徒が日本で働きたい理由は様々です。日本で働いて家族に仕送りがしたい。日本で働いて貯金ができたらミャンマーで起業したいなどです。中には以前に住んでいた村に道路を引いてくれた日本にとても感謝しており、日本で働くことでその恩返しがしたいという人もいました。その気持ちを絶やさず日本のためにという想いで勉強に励んでいるのを見るとこちらも熱い気持ちになりました。日本で働きたい理由は何であれ彼らを一人残らず日本へ送りたい。そんな気持ちになりました。この日本語クラスは10ヶ月で卒業になりますが、少し関わっただけの生徒も卒業式の日にはお礼を言いに来てくれたり、プレゼントをくれたりしました。自分では大したことができていないと思っていましたが、彼らの人生に少なからず良い影響を与えることができていると実感し、改めてやりがいを感じました。
インターシップを通して苦手な仕事が明確になった
経験するのはとても大切なことで、イメージでは絶対に補うことができません。塾講師、日本語教師を経験し、気づいたことは「教えるのは好きだけれど、さほど得意でもない」ということでした。マンツーマンや少人数であれば上手にやれるのですが、数十名のクラスを受け持つのは大変でした。そして、今回のインターンシップを通してオフィスワークが向いていないこともわかりました。私以外全員出払っている状態で黙々と事務作業を続けていると、誰かと話したくてたまらなくなりました。じっと座って作業をすることに向いていないのだと気づきました。まだ業種は決めていませんが、人間関係を構築しながら仕事を進めていける営業職をやってみたいと考えています。また、海外経験が多いので、海外で働いてみたいと思わないかと問われたこともありますが、現在は日本国内で考えています。これまでヨーロッパを中心に様々な国に行ったり、大学でも国際ボランティアでフランスへ行ったり、今回のミャンマーでのインターンシップも含めると海外経験はある方です。また幼い頃にイギリスに住み、帰国後も幼少期から英語を習っていたので、英語には慣れ親しんでいます。そのため実は英語に特別な想いも持っていません。英語はあくまでもツール。使える状態にしておいて必要なときに取り出して使う。そんな感じで考えています。
就職活動を控えた時期に、インターンシップを経験して仕事観が明確になったのは収穫でした。インターンシップは何年生で参加するか、何を目的に参加するかで感じ方は無数にあると思います。日本でのインターンシップにも参加しながら自分にとっての一社を見つけていきたいと思います。
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本学ではASEAN諸国、インドにてインターンシップ経験ができる海外インターンシップ、通称CAPI(Career Advancement Program Internship)を2-4週間の短期と、3ヶ月に渡る長期にて実施しています。こちらのページも併せてご覧ください。